4 名前:達磨女 

達磨女
ある日本人の新婚夫婦が新婚旅行で中国にやってきた。
街中を観光しているとき、妻が「服を見たい」といって衣料品店に入っていった。
夫は服選びを見るのもつまらないということで、店の外でブラブラしながら待っていた。

しかし、いつまで経っても妻が店から出てこない。
不安に思った夫は店の中に入り探してみたが、そこにも妻の姿は見当たらなかった。
店員にも妻のことを聞いたが「そんな人間は見ていない」というばかり。
警察にも相談したが手がかりを見つけることはできなかった。
滞在先のホテルにも戻っておらず、妻は煙のように消えてしまった。

夫は泣く泣く日本へ帰り、しばらく間を置いて中国へ妻を捜すために戻ってきた。
だが夫の努力もむなしく妻は一向に見つからなかった。

妻の捜索に疲れた夫は、気分転換のために路地裏にある見世物小屋へと足を運んだ。
「日本ダルマ」と書かれた看板にも興味をそそられた。

小屋に入ると、看板にも書かれていた「日本ダルマ」が始まるところだった。
そして夫はとんでもないものを見ることになる。

舞台の上では両手両足を切断され、樽のようなものに入れられた女が見世物にされていた。
舌も抜かれているのだろうか?女は声にならない悲鳴を上げている。
見世物小屋の関係者らしき人間が傍でニヤニヤしながらその様子を見ていた。

『こんな悪趣味なものが見世物になるなんて……』
夫は吐き気を抑えつつ舞台を見ていたがあることに気付き、気持ち悪さも忘れて呆然と立ちつくした。

たった今、舞台の上で見世物になっている両手両足のない女、
それはまぎれもなく衣料品店から失踪した妻の変わり果てた姿だった。