225 本当にあった怖い名無し

その年の北海道は鮭が昇ってくる頃になっても残暑が厳しく、特にその日は全然風が無くて暑かった…

昼ごろになって村の若者たちが鮭を釣りに山の中に行ったところ、先に出かけていた別の村人が血まみれになって死んでいた。
彼らはそれを見て数十秒だか数分だかその場に立ち尽くし、ザワザワ ザワザワと藪の音だけが聞こえる中、汗だくの一人が口を開いた。

「ヒグマの野郎…」

ヒグマの牙・爪・足跡が現場に残っていただけではなく、獣臭さえも血の臭いに混じってその場に漂っていたというから、
自分たちがもうちょっと早く来れば、ヒグマからこの人を助けられたかもしれない・・・