929 本当にあった怖い名無し
以前彼氏と某所へ旅行に行った時の事を書きます。

そこは雄大な自然を売りにした観光地だったので、自然が大好きな彼氏は大喜びでした。
日も落ちてきたので旅館へ向かうためレンタカーを走らせている途中、小さな海岸が道路脇の下の方に見えてきました。
切立った崖に囲まれていて影になっているので夕方になり傾いた太陽の光が届かず、そこだけ一層暗く、岩に当たる白い波飛沫がぼんやり見えるのが少し不気味でした。


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すると彼氏が「ちょっとそこまで下りてみない?暗がりの海岸てロマンチックじゃん」と言い海岸へ向かう下り坂へ車を向けました。
私はちょっと怖かったのですが強く止める理由もないので了解しました。
海岸脇の少し開けた場所に車を止め、そこから徒歩で狭い道を下り海岸に到着。
そこは岩浜でゴツゴツしていて歩きにくい上に、波が荒くとても泳げるような場所ではありませんでした。
他に誰もおらず、しばらく2人で喋りながら散策していたのですが、もう日も落ちて周囲はどんどん闇に包まれてきて暗くなってきたし帰ろうという事になり車へ向かいました。


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すると突然として海の方が気になって仕方がなくなりました。
別に何者かを見たとかいう訳ではないのですが、見えないまでも明らかに何かがほの暗い波間にいるのを感じたのです。


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すると突然として海の方が気になって仕方がなくなりました。
別に何者かを見たとかいう訳ではないのですが、見えないまでも明らかに何かがほの暗い波間にいるのを感じたのです。
私は怖くなり彼氏に話かけようとした途端、磁石に引き寄せられるように身体が強い力で海に引き寄せられる感覚が分かりました。
気のせいレベルではなく、見えない何かが私の体を海に引きずり込もうとしているのです。
本能的に「あ、これはヤバイな」と一気に恐怖感が頭の先から足先まで突き抜け、彼氏を引っ張り一目散に車まで逃げ帰りました。

車中では言葉に出せないほどの恐怖のあまり、背筋は凍りつきゾクゾクっとしたのを覚えています。
彼氏に話すと、やはり海に引っ張られる感じがして、海が俺を呼んでいると思い怖くなったと語っていました。


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後にネットで調べたのですが、あの辺りでは昔から落石事故や波が荒いので水死が非常に多く、また海流の関係で水死体が打ち上げられたりすることも多々あったそうです。
そんな理由から誰も人が寄り付かなくなり、今では立ち入り禁止になっているみたいです。
地元では有名な心霊スポットで地蔵や慰霊碑もあるとの話でした。
私が体験した出来事がこの事と関係あるのかなと思うと背筋が寒くなります。