969 本当にあった怖い名無し

ちょっと差し迫った話があるんで聞いてもらえるかな。

思えば昨日の会社の帰りから始まったんだと思う。俺は電車とバスを乗りついで帰宅するんだが、
バスの下り口で料金箱に回数券を入れたとき、運転手がこちらを見るともなしに、
「あと17時間ちょっと」と小声で言ったんだよ。
そのときは俺に言ったんじゃなくて、なんかのひとり言だろうと思った。
目も合わせないし、あとに言葉が続いたわけでもなかったから。
時間は8時ちょっと過ぎくらいだったと思う。

それで家に帰って飯食ってから下の子を風呂に入れてたら、
3歳の男児なんだけど、浴槽ではしゃいでたのが急に黙って「あと16時間ないね」と言ったんだ。
そのとき「あれ、こいつ時間なんてわかるのか」と疑問に思ったんで、
「16時間て何のこと?」と聞き返したら、きょとんとしてる。
で、「何にも言ってないよ」という答え。
「でも今、時間のことしゃべっただろ」「知らない」こんな感じ。
まあ無意識にテレビで聞いたことを言ったのかもしれないと、こんときもあんまり気に留めなかった。


970 本当にあった怖い名無し
んで今日の朝、電車でラッキーにも座れたんで目を閉じてたら、
すぐ耳元で「5時間切りました」という女の声がする。
「あ~れまた時間だ」と思って声のしたほうを見ると、
隣で30代くらいのOLが下を向いて文庫本を読んでて、こっちに話しかけた雰囲気はまったくない。
今思うと、気になりだしたのはこのときからかな。
朝の8時半くらいだったから、5時間後といえば昼の1時過ぎってことになる。
で、昨日のことを思い返してみると、バスの運転手や息子がつぶやいた時間と合ってる。
奇妙だけどこのときは面白く感じたんだよ、まだ。

会社に着いて少ししたら関連会社から来客があり、小会議室で打ち合わせしようとした。
するとそいつがカバンから書類を出しながら、「3時間くらい」とぼそっと言う。
こんときには「おっ来たな」という感じで、年下でわりに親しいやつだったから、
「今、3時間って言ったよね、それ何のこと」と聞いてみたんだ。
「・・・え、そんなこと言いましたか。いや言ってないですよ」
「いや確かに聞いたんだけどな」
「昼休みまで3時間もないですよね。でもそんなこと言ったかなあ」
と、わけがわからないといった様子だったんで、「いや、いいよ。自分の勘違いかもしれない」
と答えるしかなかった。


971 本当にあった怖い名無し
それでついさっき昼は社員食堂で済ませたんだが、定食の列に並んでオバサンに皿を渡されるとき、
「もう1時間です・・・・ぬまで」と鼻歌のような感じに言う。
語尾がよく聞き取れなかったんで、「ん、何です?」と聞き返したけど、
「えっ・・・何にも」という、これまでと同じ反応。
予想はついてたんで、そのまま箸なんかを取ってテーブルに座ってから、
「あと1時間・・・ぬまで、ぬまで、ねえ・・・・・・死ぬまで!・・・まさか」
しかしこう思いあたると、たしかにそう言ったとしか考えられなくなってきた。
で、1時になってから仕事をしないでこれを書いてるんだ。
だれかこういう経験した人っています?いたら詳細を聞きたい。